最大の山場、と呼んでいる理由
技術的には、この回がいちばん簡単です。打つコマンドもほぼありません。
それでも山場と呼ぶのは、「動いた!」を一度体験するかどうかで、その後がまるで変わるからです。ここを越えた人は自分で進めるようになります。越えないまま説明を読み続けても、たぶん身につきません。
だから、完璧を目指さないでください。 何かひとつ動けば勝ちです。
何を頼むか
いきなり「アプリを作って」だと、出来上がりの良し悪しが判断できません。結果が目で見えるものを選ぶのがコツです。
- 「このフォルダに、今日の予定を書くためのテキストファイルを作って」
- 「デスクトップにある画像を全部、
imagesというフォルダにまとめて」 - 「自己紹介を書いたHTMLファイルを作って、ブラウザで開けるようにして」
- 「このフォルダのファイル名を、日付が頭に来るように一括で変えて」
練習用の空フォルダでやってください。大事な書類のあるフォルダは、慣れてからで十分です。
頼み方は、普通の日本語でいい
特別な書き方を覚える必要はありません。「プロンプトの書き方」のような話は、いったん忘れて大丈夫です。
ただし、雑でいいわけではありません。 ぼんやり頼むと違うものが生成されて、やり直しになります。そして前のステップで見たとおり、やり直した分だけ枠が減ります。 曖昧さは、地味に高くつきます。
コツはひとつです。「何を」「どうしてほしいか」を、そのまま書く。
| ぼんやり | 伝わる |
|---|---|
| 「ファイル作って」 | 「このフォルダに、今日の予定を書くtodo.txtを作って」 |
| 「直して」 | 「さっき作ったファイルの、2行目の日付を8月8日に直して」 |
| 「いい感じにして」 | 「見出しを大きくして、行間を広げて」 |
難しい言葉はひとつも要りません。 右側も全部ふつうの日本語です。違うのは、何を・どうしてほしいかが書いてあるという一点だけです。
そのうえで——一発で当てる必要はありません。 違っていたら、言い直せば直ります。
「もうちょっと文字を大きく」 「さっきのは消して、やり直して」 「意味が分からないので、もっと簡単に説明して」
構えなくていい。でも、雑にはしない。 この2つは両立します。
「これを実行していいですか」が出ます
使い始めて最初に面食らうのが、これです。何かするたびに許可を求められます。
これは安全装置です。 エージェントは本当にファイルを作ったり削除したりできるので、勝手に走らないようになっています。
慌てないための線引きだけ、覚えておいてください。
- 中身を見るだけのもの(
lsで一覧を表示する、ファイルを読む)は、気楽に許可して大丈夫です - 削除するもの・書き換えるもの(とくに
rm)は、何を対象にしているかを読んでから許可してください - 意味が分からないコマンドが表示されたら、その場でエージェントに聞けます。 「今のコマンド、何をするの?」で説明してくれます
うんざりしてきたときの付き合い方は「コマンド承認地獄」との付き合い方に書きました。「全部許可」に逃げる前に、一度読んでみてください。
長く動いていても正常です。止めたいときは Esc
もうひとつだけ。時間のかかる作業を任せて席を立つのは、普通の使い方です。 数分では終わらないこともあります。終わるまで画面を見張る必要はありません。
長いというだけでは、止める理由になりません。 画面に何をしているかが流れ続けているなら、作業中です。むしろ途中で止めたときのほうが、書きかけのファイルが中途半端なまま残ることがあります。
頼んだのと違う方向へ進んでいると分かったときは、Escキーで止まります。 それまでに進んだ分は残るので、「さっきの続きから、こう変えて」と言い直せます。
ステップ2で覚えた Ctrl + C でも止まりますが、何も動いていないときに2回押すとClaude Codeそのものが終了します。 エージェントの作業を止めるのは Esc のほうだと覚えておくと安全です。
放っておいた検索が止まらなくなったときに何が起きるかは、『放置した検索でCPUが爆熱、気づいたら数日経っていた話』に書きました。
つまずいたら
- 何を頼めばいいか思いつかない — 「このフォルダで何ができる?」と聞いてしまうのが早いです
- エラーが表示された — そのままエラーの文字をコピーして貼り付けて、「これ直して」と言ってください。 自分で読む必要はありません。これがいちばん使う技です
- 違うものが出来た — 失敗ではありません。「そうじゃなくて、こうしたい」と言えば直します
- 完了したと言うのに、何も変わっていない — たまにあります。「本当にできてる?確認して」と言えば見直します。これにはハルシネーションという名前がついています
動いたら、ここが分かれ目です
何かひとつでも形になったなら、このロードマップの一番高い山は越えました。
ここから先は、消えないようにする話と、安全に使い続ける話です。急に難しくはなりません。