Dance with Agents

STEP 10 / 11

エージェントを安全に使う

守るのは3つだけ。削除する操作は目で確認する、APIキーやSSHの鍵はリポジトリに置かない、「全部許可」は最後の手段。ここで土台ができます。

このステップを終えると

  • ✓どこで許可し、どこで止まるべきかの線引きを持てた
  • ✓鍵やパスワードを、うっかり公開しない備えができた
  • ✓何かあったときに、まず何をすればいいか分かる
目安の時間:
30分ほど
お金:
かかりません

守るのは3つだけ

セキュリティの話は、始めると際限がありません。最初のうちに本当に要るのは3つです。ここではそれだけ扱います。

  1. 削除するコマンドは、対象を読んでから許可する
  2. 鍵とパスワードを、リポジトリに入れない
  3. 「全部許可」を、意味が分からないうちに使わない

順に見ます。

1. 削除するものだけは、目で確認する

エージェントは本当にファイルを削除できます。とくに rm は、ゴミ箱を経由しません。実行した瞬間に削除され、取り消せません。

だから許可の出し方に、こう差をつけてください。

  • 読むだけ(一覧を見る、中身を表示する)— 気楽に許可して大丈夫です
  • 書き換える — Gitで守られていれば、戻せます
  • 削除する — 何を削除しようとしているか、その1行を読んでから許可してください

読むのはコマンド全体ではなく、対象の部分だけで十分です。見覚えのない場所を指していたら、そこで止めてください。

2. 鍵とパスワードは、リポジトリに置かない

リポジトリというのは、Gitが履歴を記録しているフォルダのことです。前のステップでそれをGitHubに置けるようになったので、中に入れたものは、設定しだいで世界中から見えます。 便利さと危なさが、同時に増えました。

外部サービスを使い始めると、APIキーという長い文字列を扱うようになります。あれはパスワードと同じものです。これがうっかりリポジトリに入り、公開されると——自動で見つけ出す仕組みが世の中にはあります。 気づくのは、たいてい請求が来てからです。

備えは2つです。

  • .gitignore に、鍵を書いたファイルを入れておく。 これはGitに「このファイルは記録しないで」と伝える仕組みです。エージェントに「APIキーが入らないように .gitignore を設定して」と頼めます
  • リポジトリは、迷ったら非公開で作る。 設定は切り替えられますが、一度公開したものは、見られた前提で考えるしかありません

もし公開してしまったら、削除するだけでは足りません。 削除しても履歴に残りますし、見られた前提で動くべきです。その鍵を無効にして、作り直してください。 これが唯一の確実な対処です。

なお、GitHubの鍵(SSH鍵)は仕組みが別で、秘密鍵は自分のパソコンから出しません。 置き場所やパーミッションが気になったらSSHの基本へどうぞ。

3. 「全部許可」は、最後の手段

承認プロンプトが続くと、必ず「全部許可」に手が伸びます。気持ちは分かります。

でもそのモードは、上の1番を丸ごと外すということです。使うなら、こういう条件が揃ってからにしてください。

  • Gitで守られていて、いつでも戻せる
  • そのフォルダに、失って困るものが入っていない
  • 画面を見ていられる

近道は、全部許可ではなく許可リストを育てることです。よく使う安全なコマンドだけを覚えさせていけば、聞かれる回数は自然に減ります。詳しくは「コマンド承認地獄」との付き合い方に書きました。

「大丈夫です」を、そのまま信じない

もうひとつだけ。エージェント自身の「安全です」という説明も、根拠のない作り話であることがあります。

自信たっぷりに、存在しないオプションや、実在しない公式ページを挙げてくることがあります。ハルシネーションと呼ばれる現象です。

判断が重い場面ほど、出典を求めてください。 「それ、公式のどこに書いてある?URLを教えて」で十分です。URLを示せないなら、その説明は保留にしてください。

アカウント側にも、一度だけ切っておく設定がある

ここまでの3つは、エージェントを手元で動かすときの話でした。それとは別に、AIサービスのアカウント側にも確かめておきたい設定が一つあります。 打ち込んだ内容を学習素材に使わせない設定で、ChatGPT・Claude・Geminiのいずれもデフォルトはオンです。

ステップ3とステップ4で触れた話なので、済んでいれば飛ばして構いません。まだなら『有料AIと契約したら、最初にやることが一つある——「学習させない」設定』に3社それぞれの場所があります。一度切れば、以後は考えずに済みます。

つまずいたら

  • 鍵をコミットしてしまった — 履歴から削除する前に、まずその鍵を無効化して作り直す。順番はこちらが先です
  • 何が危ないか分からない — 「今から実行するこれ、危ないところある?」と聞けます。ただし上のとおり、答えを鵜呑みにはしないでください
  • 怖くて何も許可できない — 練習用の空フォルダに戻ってください。そのフォルダの中身については、失って困るものがありません。 ただしコマンドはフォルダの外にも届くので、削除する操作だけは対象を見てください

ここまで来れば、土台は出来ています

戻せる。漏らさない。止まるべきところで止まる。この3つがあれば、あとは使いながら覚えられます。

次で仮免です。

次は STEP 11ここから先は、エージェントに聞けばいい →ここで仮免です。分からないことは目の前のエージェントに聞けば進めます。あとは寄り道(支流)を好きなだけどうぞ。

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