黒い画面は、文字で頼むための窓口
普段パソコンを使うときは、アイコンをクリックして、メニューから選んで、ボタンを押します。ターミナルは、それを全部キーボードの文字でやる場所です。それだけのことです。
なぜこれを開くのかというと、エージェントが手を動かす舞台がここだからです。エージェントはこの窓口を通してファイルを作ったり、プログラムを動かしたりします。あなたが打つコマンドの大半はエージェントが考えてくれるので、全部覚える必要はありません。
このステップでやるのは、開いて、3つだけ打って、閉じる。これだけです。
Macで開く
いちばん速いのは、⌘(コマンド)キーとスペースを同時に押して、出てきた検索窓に「ターミナル」と打つ方法です。
確実なのは、Finderで「アプリケーション」→「ユーティリティ」フォルダを開いて、「ターミナル」をダブルクリックする方法。Appleの案内にも、この手順とLaunchpadから開く手順が載っています。
白い画面が開いた方もいると思いますが、それで合っています。 むしろそちらが素の状態です。Macの既定のプロファイル(設定の名前)は「Basic」で、Apple公式にも「デフォルトのプロファイルを選んでいなければBasicが使われる」とあり、これはMac本体のライトモード・ダークモードの設定に連動します。ライトモードなら白背景、ダークモードなら黒背景です。「黒い画面」というのはあくまで通称で、色は設定次第——むしろ黒がデフォルトというほうが思い込みです。
Windowsで開く
スタートメニューを開いて「ターミナル」と打つのがいちばん確実です。Windowsキー+Xのメニューからも開けます。
Windowsには「PowerShell」と「コマンドプロンプト」の2つがあって紛らわしいのですが、何もしなければ正しいほう(PowerShell)が開きます。 見分け方や、Windows 10の場合の手順はWindowsでターミナルを開くにまとめました。
その記事の最初に書いたことをここでも繰り返しておきます。WSLは要りません。 調べると必ず出てきますが、最初の一歩では覚えることが倍になるだけです。
開いたら、まず2つ打ってみる
1行打つたびにEnter(return)キーを押します。押さないと何も起きません。 最初につまずくのは、たいていここです。
pwd— 今どこにいるかが出ます。/Users/あなたの名前のような表示が出れば成功ですls— 今いる場所にあるものの一覧が出ます。DocumentsやDesktopなど、見覚えのある名前が並ぶはずです
どちらもMacとWindowsで同じように動きます。何か表示が出たなら、それで成功です。 意味は分からなくてかまいません。
画面が文字で埋まってきたらclearできれいにできます。埋まったまま使い続けても支障はないので、必要になったときにどうぞ。
そしてcd。これだけは避けて通れません
ターミナルは、常にどこか1つのフォルダの「中」にいます。 Finderやエクスプローラーで1つのフォルダを開いているのと同じで、目に見えないだけです。そしてpwdが答えるのが、その現在地です。
なぜこれが重要かというと、エージェントは「今いる場所」を起点に作業するからです。作りたいものが入ったフォルダまで移動してから起動する——毎回の作業が、ここから始まります。その移動がcdです。
cd Documents # Documentsの中に入る
cd .. # 1つ上に戻る
cd # ホーム(自分の家)に戻る
迷子になったらcdだけ打つ。 これは覚えておいて損がありません。
cdでつまずくよくあるポイント
上の3行は短いのですが、この短さのわりに引っかかる場所がいくつもあります。よくあるものを並べておきます。
名前だけで行けるのは、今いる場所の中まで
cd フォルダ名という書き方は、lsで名前が出てくるフォルダに向けたものです。デスクトップにフォルダが見えているのに cd my-project が「そんなフォルダはありません」と返ってくるのは、たいていこれです。フォルダ名が間違っているのではなく、「どこから見た名前か」がずれています。
..(ドット2つ)が「1つ上」
cd ..の..は、フォルダの名前ではなく「1つ上のフォルダ」を指す書き方です。これを知らないと、下りていくことはできても戻ってこられません。2つ上まで戻りたければcd ../..と重ねられます。
~(チルダ)が「自分のホーム」
どこにいてもcd ~/Documentsでホームの中のDocumentsに行けます。cdだけ打つのも同じ場所です。打つのは、日本語配列のキーボードならShift+^(「へ」のキー)。
スペースの入ったフォルダ名
cd My Project は、MyとProjectが別々のものとして読まれるので、そのままでは通りません。下のTabキーかドラッグ&ドロップに任せてしまうのが早いです。
離れた場所へ行くには道順を全部書きます。これを「パス」と呼びます。ただし、長いパスを手で打つ人はほとんどいません。
- 途中まで打って
Tabキー。続きを自動で埋めてくれます。慣れると、これが一番よく使う打ち方になります cd(cdとスペース)まで打って、フォルダをターミナルにドラッグ&ドロップ。パスが文字として入ります
このあたりは、詰まったときに読めば十分です。cd――フォルダの中を移動するコマンドに、MacとWindowsの違いまで含めてまとめました。
閉じ方と、止め方
閉じ方はexitと打つか、ウィンドウを普通に閉じるだけです。閉じ込められることはありません。
止め方のほうが大事です。何かが延々と動き続けて止まらなくなったら、CtrlキーとCを同時に押します。これが「今やっていることを中断する」合図です。この1つだけは覚えて帰ってください。
ただしWindowsでは、このCtrl+Cが「コピー」と「中断」を自動で使い分けています。知らないと必ず驚くので、WindowsとMacで、ターミナルはここが違うに別途書きました。
つまずいたら
- 打っても何も起きない —
Enterを押していない可能性が高いです command not foundと出る — 打ち間違いか、その道具がまだ入っていないかのどちらかです。慌てず、綴りを見直してください- パスワードを打っても文字が出ない — 故障ではありません。わざと表示しない仕様です。見えないまま打って
Enterで通ります - 知らない画面が開いて出られない — vimというエディタです。
Escを押してから:q!と打ってEnterで出られます cdが「そんなフォルダはありません」と言う —pwdで現在地、lsで中身を確認してください。無ければcdだけ打ってホームに戻り、やり直すのが早いです
ここまでで十分
開けて、移動できて、閉じられた。それだけで、このステップは達成です。
覚えるのはpwd・ls・cdの3つと、中断のCtrl+C。最初はこれで足ります。
ほかのコマンドは、使ううちにだんだん慣れていきます。このページの下にUNIXコマンド一覧・基本編へのリンクを置いてありますので、手元に開いておいてください。そして何より、エージェントを起動してしまえば、コマンドはそのつどエージェントに聞けます。