「答えるAI」から「やってくれるAI」へ
ChatGPTのようなAIに、何かを聞いたことはあるでしょうか。質問すると答えが返ってくる。文章を書いてくれる。あれはあれで便利です。
AIエージェントの中身も、同じような仕組み——LLM(大規模言語モデル)です。違うのは、答えを返して終わりではなく、実際に手を動かすところです。
たとえば「請求書のPDFから金額を抜き出して表にしたい」と頼んだとき、チャットAIは手順を説明してくれます。エージェントは、その手順どおりのプログラムを自分で書いて、自分で動かして、エラーが出たら自分で直して、表を作って渡してきます。
教えてくれる人と、隣に座って一緒に作業してくれる人。この差です。詳しくはそもそも、AIエージェントって何?に書きました。
向いていること
- 面倒な繰り返し作業。 何百個のファイル名を規則的に変える、バラバラな形式の表を揃える、といった「やれば終わるが、やりたくない」仕事
- 自分だけが欲しい、小さな道具。 世の中に売っていない、自分の業務にだけ合う集計ツールのようなもの
- 意味の分からないエラーへの対処。 画面に出た英語のメッセージを読んで、原因を探して、直すところまで
- 下書きと叩き台。 ゼロから書き始める、いちばん腰の重い部分を肩代わりしてもらう
- プログラムを書かない、まとまった作業。 資料の下調べ、契約書のチェック、旅行の予約——ここまでの例と違って、コードは一切出てきません。アプリの中で日本語だけで完結する使い方もあります(→コードを書かずに任せるエージェント)
向いていないこと
ここを先に知っておくほうが、あとで失望しません。
- 何を作りたいかを決めること。 これは人間の仕事です。エージェントは「どう作るか」は得意ですが、「何を作るか」は決めてくれません
- 事実の保証。 存在しないコマンドや、やっていない作業の完了報告を、自信たっぷりに返してくることがあります。ハルシネーションと呼ばれる現象です
- 完全な放置。 見ていないと、意図しない方向に走り続けることがあります。管理人も、走らせっぱなしの検索でパソコンを数日間過熱させたことがあります
- 本人確認の要る操作。 アカウント登録やクレジットカードの入力は、結局あなたの手が要ります
恩恵が大きいのは、作りたいものがある人
「向いていないこと」の1つ目に挙げた「何を作るかは決めてくれない」は、裏返すと作りたいものがはっきりしている人ほど、エージェントは強く効くということでもあります。どう作るかは聞けば教えてもらえますが、何を作りたいかだけは、誰も代わりに決めてくれません。
そのうえで、いちばん大きな変化は、「作れる人に頼むしかなかった」ことが、自分の手で形になることだと思います。
これまでは、プログラミングを覚えてから作るしかありませんでした。その順番が逆になり、作りながら覚えていけるようになった。ここが、エージェント時代のいちばん大きな違いです。
いちいち許可を求められる、という話
先に一言だけ。エージェントは、あなたのパソコンのファイルを本当に作ったり削除したりできてしまいます。強力な分、危なくもある。
そのため多くのエージェントは、何かする前に「これを実行していいですか?」と聞いてきます。使いはじめて最初に面食らうところですが、あれは安全装置です。この話はステップ7で正面から扱うので、いまは「そういうものがあるらしい」で十分です。
このステップは、ここまでで大丈夫
読んでみて「なんだか良さそう」と思えたなら、このステップは終わりです。理屈をこれ以上ためこむ必要はありません。残りは、触りながら覚えるほうがずっと早いからです。