Dance with Agents

STEP 6 / 11

モデルを選ぶ・トークンを意識する

どのモデルを選ぶか、トークンとは何か。使いはじめる前に知っておくと、あとが楽になります。

このステップを終えると

  • ✓トークンが何なのか、なぜ有限なのかが分かる
  • ✓使うモデルを自分で決めて、切り替えられる
  • ✓いちばん効く節約は「会話を切ること」だと知る
目安の時間:
15分ほど
お金:
かかりません。むしろ、ここを読むと後の消費が減ります

使う前に、5分だけ

道具は手に入りました。すぐ頼みたいところですが、先にこれを知っておくと、あとの体験がかなり変わります。

覚えることは2つだけです。トークンと、モデルの軽重。

トークンは、やり取りの分量の単位

エージェントとのやり取りは、文字数ではなく「トークン」という単位で数えられています。ざっくり言えば、単語や文字のかたまり1つが1トークンです。日本語なら1文字が1〜2トークンくらい、と思っておけば実用上は足ります。

大事なのは正確な換算ではなく、これが有限だということです。どのプランにも上限があり、使い切ると一定時間待つことになります。

落とし穴は「毎回、全部読み直されている」

ここがいちばん腑に落ちにくく、いちばん効くところです。

エージェントは、発言のたびに、それまでの会話全部をもう一度読み直しています。 前回の内容を覚えているのではなく、毎回まとめて読み返して答えている、という作りです。

つまり——会話が長くなるほど、1回の発言が高くつきます。 同じ「ありがとう」の一言でも、会話の始めと、2時間後とでは、消費がまるで違います。

割引がまったく無いわけではありません。裏側では読み直した部分を再利用する仕組み(プロンプトキャッシュ)が働いていて、単価のほうは下がっています。 それでも「長くなるほど高くつく」という話は変わりません。Anthropic公式のコスト解説にも「a one-line question in a session that has been open all day still draws usage for the whole conversation」——朝から開きっぱなしの会話では、一行の質問でも会話まるごとぶんの消費になる、と書かれています。安くなるのは単価だけで、読み直す量そのものは減らないからです。

だから、いちばん効く節約は難しい技ではありません。

話題が変わったら、会話をリセットする。 これだけです。

Claude CodeでもCodexでも、打つのは同じ/clearです。 Codexのコマンド一覧(OpenAI公式)にも「Clear the terminal and start a fresh chat(ターミナルをきれいにして、新しい会話を始める)」と載っています。

話は変わらないけれど会話が長くなってきた、というときは/compactです。それまでの内容を要約して、続きをやれる状態にしてくれます。 これもどちらにもあります(Codexの説明は「Summarize the visible chat to free tokens」)。

  • 話題が変わった → /clear(捨てる)
  • 同じ話の続き → /compact(畳む)

この2つを使い分けられるようになると、消費がはっきり変わります。

モデルには、軽いものと重いものがある

エージェントの裏では、必ず何らかのAIモデルが動いています。そして軽くて速くて安いものから、重くて賢くて高いものまで選べるようになっています。

  • 軽いモデル — 「これは何をするコマンド?」のような確認・質問向き。速く、減りも緩やか
  • 重いモデル — 込み入った設計や、原因の分からない不具合の調査向き。時間もトークンもかかる

方針はひとつです。質問の重さと、モデルの重さを揃える。

軽い確認に一番賢いモデルを使う必要はありませんし、逆に難所を軽いモデルで粘るのも遠回りです。迷ったら真ん中から始めて、物足りなければ上げる、大げさだと感じたら下げる。 具体的な名前と使い分けはトークン節約のためのモデル選びにまとめました。

⚠️ いちばん最初にやるのは、モデルを決めることです

ここだけは、節約の工夫ではなく上限に直結する話なので、先に片付けてください。

一番重いモデルを選んだまま何にでも使うと、20ドルのプランでは驚くほど早く枠が尽きます。 前のステップで見た5時間の枠が、あっという間に来ます。同じ質問でも、選ぶモデルで減り方が数倍変わるので、ほかの工夫とは減り方の桁が違います。

最上位は「難所で出す切り札」です。具体的には、こういう場面で切ります。

  • どう作るかを一緒に考えてもらうとき。 「この仕組み、どういう構成にするのがいい?」のように、答えが一つに決まらない相談
  • 仕様を詰めるとき。 「こういう場合はどう動くべき?」「抜けている条件はない?」を洗い出してもらう
  • 何時間も原因が分からない不具合。 どこが悪いのか見当もつかない、という状態のとき
  • 大きく作り替えるとき。 あちこちに影響が及ぶ変更を、まとめて任せる場面

逆に、こういう用事で最上位を使うのは、はっきりもったいないです。

  • 「このコマンド、何をするの?」と聞く
  • 誤字を直す、言い回しを整える
  • ファイル名を規則的に変える、表の形式を揃える
  • 前にやったのと同じ手順を、もう一度なぞる

「考えてもらう仕事」か、「やってもらう仕事」か。 この線で分けると迷いません。考えてもらうときだけ上げる、で足ります。

Claude Codeなら:/model を一度は開いてください

/modelと打つと、選択画面が出ます。2026年8月8日時点の管理人の環境では、こういう並びでした。中身はバージョンによって変わるので、参考として見てください。

  1. Default (recommended)  Sonnet 4.6 · Efficient for routine tasks
  2. Sonnet                 Sonnet 4.6 · Efficient for routine tasks
  3. Fable                  Fable 5 · Most capable for your hardest and
                            longest-running tasks · Uses your limits ~2×
                            faster than Opus
  4. Opus                   Opus 4.8 · Best for everyday, complex tasks
  5. Haiku                  Haiku 4.5 · Fastest for quick answers

注目してほしいのは3番、Fableの行です。 「Uses your limits ~2× faster than Opus(Opusの約2倍の速さで上限を消費します)」と、警告が添えられています。 最上位が速いのは計算力だけではない、ということです。

⚠️ そして、既定のままにはしないでください

もうひとつ、この画面には落とし穴があります。既定(1番)はSonnet 4.6です。

名前が「Sonnet」なので無難に見えますが、これは1つ前の世代です。Anthropic公式のモデル一覧では、現行のSonnetはSonnet 5で、画面に並んでいる4.6や4.8のほうが「Legacy」に移っています。選択画面が追いついていない、という状態でした。

古いほうを使い続ける不利は、賢さだけではありません。

  • 同じ作業により多くのトークンを使います。 賢さで劣るぶん、やり直しや遠回りが増えるためです
  • 単価も高いです。 公式の一覧によると、Sonnet 5には2026年8月31日までの導入価格(入力100万トークンあたり$2)が設定されていて、Sonnet 4.6の$3より安くなっています

つまり既定のままだと、古くて・賢くなくて・消費も多いほうを使い続けることになります。

新しいほうは、モデルIDを直接打てば使えます。

/model claude-sonnet-5

選択画面にも「For other/previous model names, specify with --model」と書かれているとおり、一覧に無い名前は、名指しすれば使えます。 指定すると「Custom model」として扱われます。

まずここに切り替えてから始めてください。 Sonnet 5は公式で「The best combination of speed and intelligence(速さと知能の最良の組み合わせ)」とされています。

この状況は、更新すれば解消するかもしれません。 大事なのは名前を覚えることではなく、一度/modelを開いて、既定が何になっているかを自分の目で見ることです。それだけで、古い世代を使い続ける事故は避けられます。

そしてFableは、難所だけで出す切り札に。単価も、公式の一覧ではSonnet 5の入力$2〜3に対してFableは$10です。常用すると、20ドルのプランはすぐ終わります。

⚠️ 選んだモデルは、次のセッションにも引き継がれます

これが、いちばん痛い落とし穴かもしれません。/modelの画面の説明文に、さらっとこう書いてあります。

Your pick becomes the default for new sessions

(選んだものが、新しいセッションの既定になります)

つまり——難所でFableに上げたあと、そのまま別の作業を始めると、Fableのまま走ります。 ターミナルを閉じて開き直しても、次の日でも同じです。

大したことのない用事を、いちばん高いモデルにやらせていた、という事故がこれで起きます。しかも気づくのは、たいてい上限が近づいてからです。

切り札は、使ったら戻す。 難所が済んだら/modelで下げる——これを癖にしておくと、静かに消えていく分がなくなります。

Codexなら:既定が最上位なので、下げる

こちらは事情が逆で、放っておくと重いほうになります。 OpenAI公式のモデル一覧によると、既定で使われるのはGPT-5.6 Sol——「Flagship GPT-5.6 model with the strongest capability for complex coding」、つまり一番上のモデルです。

日常的に使うなら、GPT-5.6 Terra(「Balanced GPT-5.6 model for everyday work」)に下げておくほうが長く使えます。もっと軽くていいならGPT-5.6 Luna(「Fast and affordable」)です。

切り替えは/modelで、起動時に指定するならcodex --model(-m)です。

つまり、Claude Codeは「既定から切り替える」、Codexは「既定から下げる」。 向きは違いますが、どちらも既定のままがいちばん損、というのは共通です。

順番の話:先に「やらないこと」を決める

上の一点さえ避けられれば、あとは工夫の話になります。減らせる量の多い順に並べるとこうです。

  1. 話題が変わったら会話を切る(/clear。日々の消費にいちばん効く)
  2. 頼み方を具体的にする(やり直しが減る)
  3. 直したいところはまとめて1回で言う。誤字程度は自分で直す(往復そのものが減る)
  4. 場面に応じてモデルを上げ下げする

つまり、モデル選びは「毎回悩むこと」ではありませんが、「上に固定しっぱなしにしない」ことだけは最初から、ということです。

このあたりを実践的にまとめたのがAIエージェントのトークン消費を減らすコツです。使い始めてから読み返すと、意味がよく分かる種類の記事だと思います。

つまずいたら

  • 上限に達して待たされた — 事故ではありません。会話を切って、軽いモデルに落として再開してください
  • どのモデルか分からない — たいてい画面のどこかに今のモデル名が表示されています。分からなければエージェント自身に「今どのモデル?」と聞けます
  • 数字が気になって頼めない — 気にしすぎないでください。最初のうちは、練習に使ったぶんが一番安い投資です

頭に入れるのは、ここまで

「毎回ぜんぶ読み直されている」と、「最上位モデルに固定しない」。この2つだけ覚えて帰ってもらえれば十分です。

次はいよいよ、実際に頼んでみます。

次は STEP 7エージェントに何かを頼んで動きを見る →最大の山場。ファイルを1つ作らせる、画像をフォルダにまとめさせる——結果が目で見えることを頼みます。「動いた!」を一度体験すれば、景色が変わります。

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