「分からなければ聞けばいい」の落とし穴
分からないことは、エージェント自身に聞いてしまうのがいちばん早い。 それは正しいのですが、一つだけ注意点があります。質問のたびに、あなたのトークン(≒使用量、≒お金)が減っていくということです。
「これは何をするコマンド?」と聞くだけの軽い質問に、一番賢くて一番高いモデルを使う必要はありません。そこにモデル選びという考え方が関わってきます。
モデルにはいろいろな「強さ」がある
エージェントを動かす裏側には、必ず何らかのAIモデルが動いています。そしてモデルには、ざっくり言うと「軽くて速くて安いモデル」から「重くて賢くて高いモデル」まで、いくつかの選択肢が用意されています。Claude CodeでもCodexでも、使うモデルを選べるようになっています。
イメージとしては、こんな感じです。
- 軽いモデル:簡単な質問への回答、単純な作業の実行が得意。速いし、トークンの減りも緩やか
- 重いモデル:複雑な設計判断、難しいバグの原因調査など、じっくり考える必要がある作業が得意。その分、時間もトークンもかかる
Claude Codeで選べるモデル
具体名を挙げたほうが分かりやすいので、Claude Codeの場合で見てみます。名前で系統が分かれていて、下にいくほど賢く、そのぶんトークンを食います。
| 名前 | 位置づけ | トークンの減り方 |
|---|---|---|
| Haiku | 軽くて速い。簡単な作業向き | 最も緩やか |
| Sonnet | 速さと賢さのバランス型。普段使いの主力 | 中くらい |
| Opus | じっくり考えるのが得意。難所向き | 多い |
| Fable | 最上位。特に難しい仕事向き | 最も多い |
目安として、Haikuを1とすると、Sonnetは約3倍、Opusは約5倍、Fableは約10倍のコストがかかります(入力側の単価で比較した場合)。同じ質問でも、選ぶモデルによって減り方が数倍変わる、ということです。
Anthropic公式のモデル一覧で確認すると、2026年8月8日時点の現行世代はHaiku 4.5・Sonnet 5・Opus 5・Fable 5で、入力100万トークンあたり$1・$3・$5・$10でした。上の倍率はこの単価から算出しています。
名前のあとの数字はバージョン
「Sonnet 5」「Opus 5」「Haiku 4.5」のように、名前のあとに数字が付きます。これはバージョンで、数字が大きいほど新しい世代です。同じ系統なら、新しいものを選んでおけば基本的に間違いありません。
⚠️ ただし、選択画面が最新とは限りません
ここが実際にひっかかるところです。手元の画面に並ぶ名前が、最新世代とは限りません。
管理人の環境では、Claude Codeで/modelを開くと、既定がSonnet 4.6になっていました。名前は同じ「Sonnet」でも、これはSonnet 5より1つ前の世代です。公式の一覧では4.6はすでに「Legacy」に移っています。
古いほうを使い続けると、賢さで劣るだけでなく、同じ作業により多くのトークンを使うことになります。 やり直しや遠回りが増えるためです。単価の面でも、Sonnet 5には2026年8月31日までの導入価格(入力$2)が設定されていて、Sonnet 4.6の$3より安くなっています。
一覧に載っていないモデルは、名前を直接打てば指定できます。
/model claude-sonnet-5
選択画面にも「For other/previous model names, specify with --model」と記載されています。まず一度/modelを開いて、既定が何になっているか確かめてください。
なお、この画面の中身はお使いのバージョンによって変わります。 上は2026年8月8日時点の管理人の環境での話なので、そのまま同じとは限りません。 名前を覚えるより、確かめ方のほうを覚えておいてください。
⚠️ 上げたモデルは、戻すまでずっとそのまま
使い分けの話をしておいて何ですが、いちばん損をしやすいのはここかもしれません。
/modelの画面には、こう書かれています。
Your pick becomes the default for new sessions
(選んだものが、新しいセッションの既定になります)
つまり、難所でFableに上げたら、そのあと別の作業を始めてもFableのままです。ターミナルを閉じて開き直しても、翌日でも変わりません。
管理人にも、大したことのない用事を、いちばん賢くて高いモデルにやらせていた、という経験があります。しかも気づくのは、たいてい上限が近づいてからです。
切り札は、使ったら戻す。 難所が済んだら/modelで下げておく。これを癖にしておくと、知らないうちに減っている分がなくなります。
なお、これはClaude Codeの場合の話です。他のエージェントにも同じように「軽い/重い」の選択肢が用意されていますが、名前の付け方はそれぞれ違います。考え方は同じなので、お使いのものの一覧を見てみてください。
使い分けの基本方針
すべてを重いモデルに任せると、あっという間にトークンを使い切ってしまいます。かといって、すべてを軽いモデルにすると、難しい場面で頼りなさを感じることになります。
- 「これは何?」「これはどういう意味?」のような、確認・質問レベルのやり取りは軽いモデル(HaikuやSonnet)で十分
- 込み入った設計や、原因のよく分からない不具合の調査など、じっくり考えてほしい場面では重いモデル(OpusやFable)に切り替える
- 迷ったらSonnetから始めるのが無難です。物足りなければ上げる、大げさすぎると感じたら下げる
最初はどちらが向いているか判断しにくいと思いますが、慣れてくると「これは軽いモデルでいいな」「これは重い方に切り替えよう」という感覚が自然に身についてきます。
まとめ
エージェントに何でも聞いていいのは本当ですが、質問の重さと使うモデルの重さを揃える、という意識を持っておくと、トークンを無駄なく長く使い続けられます。「分からなければ聞こう」と「聞き方には軽重がある」は、セットになります。
モデル選び以外の節約策——話題が変わったら会話をリセットする、こまめに方向を確認する、計画を先に見せてもらうなど——は『AIエージェントのトークン消費を減らすコツ』にまとめました。あわせて読むと、節約の引き出しが増えます。